ヒトがん細胞パネルを用いた化合物の作用機作の評価



 本系は,当支援班の実施する化合物評価系の中心となる重要な評価系である.ヒトがん細胞株39系(肺がん7系,胃がん6系,大腸がん5系,卵巣がん5系,脳腫瘍6系,乳がん5系,腎がん2系,前立腺がん2系およびメラノーマ1系)に対するin vitro 薬剤感受性を測定し,個々のがん細胞株に対する薬剤感受性の違いをフィンガープリントとして表す.これまでの研究で,化学構造あるいは作用機作の類似した薬剤は,統計学的に相関の高いフィンガープリントパターンを示すことを明らかにしている(例えば,数種のDNAインターカレーターは非常に似通ったフィンガープリントを示す).この性質を利用して,当該化合物の作用機作を推定する.また,既存の抗がん剤と異なるユニークで新しい作用機作をもつ抗がん物質を選別する. 

【方法】
 がん細胞を96ウェルプレートにまき込み,翌日サンプル溶液を添加,2日間培養後,細胞増殖をスルホローダミンBによる比色定量で測定する.測定したがん細胞株39系の平均薬剤有効濃度に対する個々のがん細胞株の有効濃度偏差を計算し,フィンガープリントとして表示する.

【化合物の評価】
 サンプルのフィンガープリントを,これまで測定しデータベース化した約70種類の標準抗がん剤のフィンガープリントと比較することにより,サンプルの作用機作の推定あるいは作用機作の新規性の評価を行う.作用機作が全く不明の化合物でも,本系にかけることにより,その情報が得られたケースもある.

【欲しい情報】
 細胞増殖阻害濃度およびそのときの薬剤接触時間

【参考文献】
  1. 矢守隆夫. がん細胞パネルによる化合物評価とその分子標的スクリーニングにおける役割. 癌と化学療法31, 485-90. (2004)
    スクリーニング成績・第9報, 癌と化学療法29 Suppl II. (2002)
  2. Yamori, T. Panel of human cancer cell lines provides valuable database for drug discovery and bioinformatics. Cancer Chemother Pharmacol 52 Suppl 1, S74-79. (2003)
  3. Yaguchi, S., Fukui, Y., Koshimizu, I., Yoshimi, H., Matsuno, T., Gouda, H., Hirono, S., Yamazaki, K., Yamori, T. Antitumor activity of ZSTK474, a new phosphatidylinositol 3-kinase inhibitor, J Natl Cancer Inst 98, 545-556. (2006)




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